弊社では、年に一度の方針発表会を通して、自社の進むべき方向性を確認・共有しているのですが、その中で出てきたひとつの疑問がありました。

それは、「私たち自身も気づいていない、私たちの価値があるのではないか」ということです。

もちろん価値や強みだけでなく、課題や弱点なども含め、自分たち自身のことを冷静に把握できているかというところに問題意識を感じた私たちは、「私たちのことをよく知る方」との対談を通して、それを見つけ出そうとすることにしました。

 

 

タイトルは、「河辺商会を知る人」。

第二回、ご協力いただいたのは、日頃から金型の取引などでお世話になっている有限会社カワイ彫刻工芸の竹田専務。

「外からの目線」で、河辺商会がどんな会社に見えているのか。

若手のインタビューに、快く応じてくださいました。

 

 


対談

有限会社カワイ彫刻工芸 竹田正和専務(以下、竹)

株式会社河辺商会 営業技術部 森本誠樹(以下、森)


森:最近の情勢、コロナで色々と大変な中ですが、お仕事どんな感じですか?

竹:夏とかはひどかったですね。
うちも6.7.8月とかは雇用調整で休んでもらったりしてましたよ。
ここ2.3ヶ月くらいで少し動いてきたように思ってましたが、これから年末、年始にかけてどうなるのか、と思ってますね。
今は少し、ビジネス上のコンタクトもとれるようになってきましたが、世の中のムードとしてそれが再び難しくなってきたら、決まっている話が進まなくなったり、ということもあるのかなと。
まだ顕在化してはないんですけど、これからかなと。

森:現段階では例年通りなんですか?

竹:そうですね。
結局例年と同じくらいに戻ってきたかなという感じです。
止まってた分が一気に動き始めただけでした。
だから、今というよりは、1ヶ月後2ヶ月後が不安ですね。
またあんなことになったら、と。

森:わかります。
うちも何だかんだで忙しくなりました。

竹:今お客さんのところに出向いたりしてますか?

森:お客さんによっては、そうですね。
もちろん万全の対策をした上でですが。
ただもう基本的にはウェブでの打ち合わせに移行しました。
結局そっちの方がいいですよね。

竹:そうですね。
うちは打ち合わせに参加ということがそもそも多くはないのですが、それでも、これからはオンラインがメインになっていくのかなと感じてます。
地方のメーカーさんなどから、「コロナでいけないから写真送ってほしい」といった問い合わせはちらほらでてきました。

森:なるほど。今日はご来社いただいてありがとうございます。
僕も入って3年くらいなので、あまりよく知らないことが多いのですが、そもそもどういう経緯で河辺商会との関わりが始まってんでしょう?

竹:そのあたり、今日来る前にちゃんとまとめてきましたよ(笑
そもそも河辺商会さんとお付き合いが始まったのは2006年。
N社さんと取引していて、当時案件がほしかったのもあって、「どこかいいとこないか」とご相談したときに河辺商会さんのことを聞いて、早速N社さんと一緒に来させてもらって、で、やりはじめたのが2006年。
車の指示器の部品のお仕事でしたね。
そのへんの仕事から始まって、少しずつ認めていただけたのかなと思いながら。
それで、徐々に仕事を増やしていただいて今に至る、という感じですね。

森:14年前。
僕がまだ小さい頃ですね。

竹:弊社の取引先の中でも、古い方になるかなと思います。
数字的にも、毎年大体10社くらい動いているんですが、3番目4番目くらいの上位には常に入っている得意先さんです。

森:最初からずっと竹田専務が担当してるんですか?

竹:僕ともう一人先輩がいたんですが、その方が当時でもう60歳手前くらいだったのかな。
今は引退されて、そこからは僕一人で担当させていただいてますね。

森:今は、年に何面くらいお願いしていますかね?

竹:去年が多かったですよね。10数面。。
平均でも、10面近くあるんじゃないですか?

森:他の会社さんのペースと比べるとどうですか?

竹:ふた月に1面あれば「多いお客さん」という感じなので、やっぱり多いと思います。

森:なるほど。
そうしてわりと深く関わっている中で、実際カワイさんから見てうちってどうですか?
「正直、こういうところ困るなあ」とかあれば。

竹:えーと…(笑)
うーん、そうですね。
先ほど申し上げた通り、コンスタントに発注をいただいているので、当然弊社もついていこうと思ってます。
その上で、まあこれは河辺さんがどうとかではなく、どのお客さんでもそうなんですけど、値段的にも時間的にもしんどいときはありますね。
継続することが前提なので、指値の時もありますし。もう本当に時間がない、というときもありますし。
きついときもあり、きつくないときもある、という感じですね。
今はとくに、どこのお客さんもそんな感じですよ。
まあただ、年間10面以上とか出していただいてるので、平均したときに成り立っていればいいんじゃないかと考えていますね。

森:「もっとこうしてほしいな」とかありますか?

竹:それはまあ、高く長くとってもらえるのは一番いいことではありますけど、一番ありがたいのはコンスタントな発注ですからね。
金型屋というのはどうしても、成形屋さんのように「量産でずっと」というようにはいかないですからね。
新しいものを起こしていくことが仕事ですから。毎月新型を起こしていかないといけないので。
あとは、だいぶスタートのときに打ち合わせして、実際の金型があがって、また問題点を洗い出して、という流れも、形が変わりながら続いて行っているわけですが、
そのスタート時の詰め具合はもっと精度をあげられるのかなと。問題点をスタートの段階からつぶしておけた方が、結局お互い楽になるので。
そういうところはお互い頑張りましょうという感じですね。

森:なるほど。
お互い協力して、というところが当然大事になってくるわけですが、弊社の人間の対応って実際どうですか?

竹:時々「これは、一回少ない工程でできたな」という時はありますね。
修正項目が3、4つあって、でも、いついつまでに整理しないととなったら、積み残してでも一旦はおさめないといけない、とか。
じゃあ、あと何日か話していただければしっかりできたのに、など。
まあこればっかりはうちと河辺さんだけの話ではないので難しいところなんですけど。
だからこそ、「そういうのははじめに徹底的に潰しとこう」という意識は共有しておきたいですね。
一回で終わらせられたのに、とか。前から出てる症状じゃないか、とか。前のサンプルもこうなってたよ、とか、まあこれはどこもそうなんですけど、そういうのを減らしていかないと、お互いしんどい。
河辺さんも何回も成形しなきゃいけなくなるので。

森:なるほど。
そこはうちも常に考えておかないといけないところですよね。
最近ではうちも、一回のテストで話し合う密度を高めようとしているところで、そのあたりの精度も上げていけたらなと思ってますので、今後もよろしくお願いします。

竹:こちらこそです。
うちももっと努力しなければなりません。

森:技術の部分、あとは会社として評価というか、そのあたりお聞かせいただけますか?

竹:まず河辺さんと聞いて浮かぶのは二色成形ですよね。
メインの技術としてあるのかなと。
うちに回していただく仕事もほとんどそうですし、やっぱりよその成形屋さんと違うところというとこれが思い浮かびます。

森:なるほど。

竹:それと、タイに工場をお持ちで、海外の仕事をされているここ数年の流れなども、強みであるように思いますね。
あとは何と言っても、新しいことを常にしている印象です。いつも「また何かしてはるな」と思って見てます。
例えばうちなんかだと、継続していくことでいっぱいいっぱいで、そういう会社が多いと思うんですが、河辺さんのところは投資というか、常に前向きに新しいことをしているなと。

森:新しいことをするというのは、やはり難しいことなんですね。

竹:そうですね。
このご時世なので、そういうことをしていかないとダメというのはわかってる。
が、目の前のことだけやってると視野が狭くなるということを私たち自身が感じているので、そういった部分で外から見ていてすごいなと思います。
ほんとにできないんですよね。とにかくあるものあるものでやっていくことしか今はできてない。

森:なるほど。

竹:なので、こうした新規開拓の動きや投資の動きが、どのように返ってきているのかは知りたいところかもしれません。

森:最近だと、D54Lとかですよね。
あれはカワイさんのところで金型を起こしてもらって。
今でもあれすごい出てるんですよ。実は。
僕は経営上の部分までは知りませんが、「新しいことをして、うまくいった」みたいな何となくの手応えは感じることがあります。ひとつのチャレンジが次の仕事につながっているのかなと。

竹:すごいですよね。

森:技術面の短所とかはないですか?

竹:金型のことはまあ、当然わからないことはあるんだと思いますし、逆に僕らも成形のことはわからないので、さっきの修正のやりとりの話じゃないですが、うちもわからない部分は言われた通りにするしかない。そんな中で2回、3回、4回と、同じような課題にぶつかることがあるのであれば、それは技術的な課題の可能性があるのでは?くらいですね。
そこは多分、この成形屋さんは回数が少ない、この成形屋さんは回数が多い、といった相対的なものではないように思いますね。他社と比べてどうか、というよりも、今の精度をどう高めるかというお話かと思います。

森:なるほど。

竹:まあ、うちはついていきますので笑
お願いしますという感じです。お互いレベルを上げていきましょうというところですかね。

森:そのほか、課題のところで何かありますか?

竹:うーん、何でしょうね。
河辺商会さんの短所・課題というよりは、うちの短所・課題について河辺商会さんではどうなのかというところをお聞きしたいかもしれません。

森:と言いますと?

竹:どうにかしなきゃいけないと思っているのはやっぱり人の問題ですよね。
減るばっかりなんですね。
どんどん年齢層が上がっていって、毎年引退される方がいて、という。
おそらく業界全体がそんな感じだと思いますが。
その世代交代だったり、人の問題というのは、河辺さんのとこではどうですか?
そこがいけてれば本当に短所がないように思いますが(笑)

森:まあ、よく来社いただいているのでおわかりかとは思いますが、うちも僕が入った頃から比べると減ってますかね。

竹:増えてはない?

森:増えてないことはないですが、追い付いてはないんじゃないですか。

竹:そのあたり、どうお考えなのかなと。
これはもう、製造業の課題なんですよ。
河辺さんはまだ、森本さんもそうですけど、新卒の方を入れてらっしゃったりするので。

福田:そこは若手には難しい質問かと思いますので、総括の意味も込めて私がお答えしますね。

さっき竹田専務がおっしゃった人の問題に関しては全く同感です。
今やってるこの社内報のプロジェクトなども、ダイレクトでどうという話ではないが、ゆくゆくは採用にも関わってくる部分だと思っています。

例えば仕事を新規でとるときもそうなんですが、
新規の見込み客にアピールしまくって仕事をとれても、実際に仕事をとったあと量産品質が悪ければ、元も子もないのと同じで、
採用も、就活生にアピールをして興味をつくれたとしても、実際に働いている人たちがやりがいを感じてなくて職場環境も良くなかったら、結局入ってきても辞めてしまうんですよね。

なので、やりがいの部分や職場環境の改善などに向き合いつつ、採用活動における就活生へのPRも同時でやっていかなくてはならないと思ってて。
こうしたことをやっているのはまさしく、まずは社内のメンバーに「河辺商会がどんな会社か知ってもらおう」という目的でやっています。

社内のメンバーがこうした取り組みを安心して一緒にやっていこうと思えない限り、新しい人が入ってきても悪い循環が続くだけなんですよね。
だから、時間はかかるけども、まずは社内からやっていけば自ずと新しく入ってきた人もより良い働き方ができるはずと思ってます。

どういう風にPRしてもとれないときはとれない。とくにこの3年は景気がよかった影響か、私らもほとんど新しい人を採れなかった。
動きはかけていたけどとれなかった。

これから少しずつ景気が傾いていくので、採るタイミングになってくるのかもしれませんが、その前にまずは環境を作ろうと、今頑張っているところです。

 

竹:なるほどなるほど。ありがとうございます。