弊社では、年に一度の方針発表会を通して、自社の進むべき方向性を確認・共有しているのですが、その中で出てきたひとつの疑問がありました。

それは、「私たち自身も気づいていない、私たちの価値があるのではないか」ということです。

もちろん価値や強みだけでなく、課題や弱点なども含め、自分たち自身のことを冷静に把握できているかというところに問題意識を感じた私たちは、「私たちのことをよく知る方」との対談を通して、それを見つけ出そうとすることにしました。

 

 

タイトルは、「河辺商会を知る人」。

第一回、ご協力いただいたのは、ビジネスマッチングや展示会のフォローなど、様々な場面でお世話になっている堺市産業振興センターの小松様。

「外からの目線」で、河辺商会がどんな会社に見えているのか。

地域や業界の背景も含めて、お話しいただきました。

 

 


対談

堺市産業振興センター 小松浩史様(以下、小)

株式会社河辺商会 代表取締役 福田康一(以下、福)


福:今日はよろしくお願いします。

小:よろしくお願いします。

福:小松さんは、堺市で私たちのようなものづくり企業の支援をしてくださっているわけなのですが、「堺市とものづくり」というところにはどういった関係性があるのでしょうか?

小:元々「もののはじまり何でも堺」という言葉がありまして、実は航空会社なども、日本初のものは堺からなんです。大正時代の話でしたか。
今の全日空の前身はその会社だったりするわけです。

福:そうなんですか。

小:古いもので言えば鉄砲などもそうですね。
あとは、学生相撲の発祥も堺と言われていますね。

福:本当に「何でも」ですね。

小:そんな中で、様々な産業も発達してきまして、今も数多くの企業さんが立地しています。
少し古いデータにはなるのですが、堺市の産業における現状を京都市、大阪市、神戸市などの大都市と比較したデータがありまして。
人口は他の都市に比べて少ないのに、製造品出荷額はほぼ同等なんですね。

福:これはすごいですね。

小:「製造業が盛んな地域」と言われるのは、こうしたデータが論拠になっているのだと思います。
主たる要因は、コンビナート地域の素材産業ですね。大手の石油会社さんや化学会社さんなど。
そういったところが、大量に材料を出荷していますので、その分出荷額は伸びていくわけです。

福:このデータを見ると、付加価値額、利益の部分は他の都市に比べて少ないように見受けられますね。

小:そうなんです。利益率はとても悪い。
他の地域に比べると「稼ぐ力」が弱いんです。
多品種少量ではなく少品種多量という業態が原因のひとつでもあるかなと思いますが。

福:昭和の産業構造が残っているようなイメージですね。

小:はい。実情としてはこのような感じです。
全国の都市に広げてみると、出荷額は8位になりますね。
堺市は、事業所数が少ないことも特徴ですね。一事業所あたりの出荷額が多い。

福:なるほど。
「製造業で中小企業」というと、堺市よりも東大阪や八尾の方がそのイメージが強いのですが、そうした地域はこうしたランキングに入ってこず、堺市が入ってきているというのは、中堅企業が多いからということですか?

小:そうですね。
堺市は中堅~大規模企業が多いので。
東大阪は確か、6000程度の事業所があると記憶していますが、ランキングに入ってこないということは一事業所あたりの売り上げが低いということですね。

福:それだけ中小企業が多く集まっているということですね。

小:堺市は臨海地域の大きな企業さんがたくさん稼いでいる、というイメージですが、逆に言えば、中小企業が育っていないという見方もできますし、なかなか伸びてきていない部分があるのかなと思います。

福:なるほど。
中小企業の台頭を妨げている課題・弱みというのは、どういった部分にあるのでしょうか?

小:やはり研究開発・技術開発が弱かったり、マーケティングの弱さですね。
これは中小企業さんには多いと思うのですが、堺の企業さんはさらに顕著なのかなと。
逆に、加工精度やスピードなどは強みとしてあります。

福:心当たりはあるかもしれません。

小:我々堺市としては、こうした中小企業さんに対して、いかにして弱みを克服し、いかにして強みを高めてもらうかというところがマクロ的な支援のテーマになっています。

福:堺市では、どういった支援メニューを提供されているのでしょか?

小:私のいる経営支援課では、ビジネスマッチング事業やエキスパート派遣事業などがあります。
他にも、医療現場と堺市のものづくり企業をつないだり、標準化・デジタル化の仕組みづくりを支援したり、最近の旬なもので言うと、非対面営業への切り替えを支援したりと、そういった取り組みをしています。

福:かなりオールラウンドにされていますよね。

小:そうですね。
こうしたメニューを活用してもらって、先ほどの弱みの克服などにつなげていただきたいと思っています。

福:弊社の話で言えば、補助金の活用やビジネスマッチングの部分でとてもお世話になっていますね。
某大手さんとのオープンイノベーションの取り組みも、堺市さんのビジネスマッチングがご縁でした。

小:まさに、マーケティングの部分でお役に立てたらと。

福:様々なセミナーもそうですし、現在こうした支援事業にはとてもお世話になっているのですが、私が就任する前にも弊社とのお付き合いはあったのですか?

小:これは、資料を見返してわかったのですが、最初の接点は2008年頃でした。
当時は、某大手企業さんとがっつり組んでいらして、指定工場のような形でされていたので、ニーズはなかったんですよね。

福:今ほど新規営業が重要視されていたわけではありませんからね。

小:そうですね。
逆に、守秘義務の関係などで他のお仕事をなかなか入れられなかったりなどもあったのかもしれません。

福:それが最初の接点だったわけですね。

小:その後、2013年頃にまた違う大手さんからのお話が出てきまして。
確か家電の筐体だったと思うのですが、外観の整った薄肉成形というのがニーズとしてあったんです。
その時、「それだったら提案できることがあるかもしれない」と言っていただいてから、少しずつお付き合いが始まりましたね。
なので、きっかけはビジネスマッチングです。

福:なるほど。

小:今の福田社長が就任されてからは、支援メニューもかなり多くご活用いただいている印象です。

福:ありとあらゆる所で「とりあえず話を聞いてみよう」という気持ちがありますので。

小:色々なところにアンテナを張られているのは純粋にすごいなと思います。

福:いえいえ。
本当に色々な相談をさせていただいてますし、堺市さんのブースを使って展示会などのチャンスもいただいています。
とくに、堺市さんに多くの情報が集まる中で、弊社に相性の良さそうな話をタイムリーに展開していただけている点などは、本当にありがたい限りです。
何なら、私たちよりも私たちの広報・営業的な活動をしていただいていると感じています。

小:ありがとうございます。

福:小松さんとは、展示会も3度ほど一緒にさせていただいているので、やっぱり弊社の強みや得意なことをかなり把握してもらっているなと思っています。

小:河辺商会さんはとくに、説明しやすい技術をお持ちですからね。
特徴的な技術でプレゼンしやすいので、こちらこそありがたい限りです。

福:小松さんから見ると、私たちはどんな会社に見えているのでしょうか?

小:まずはやっぱり、「たくさんチャレンジをする企業」というイメージは強いです。
塗装レスのメタリックや多色成形など、技術面での改善・要素開発的なところにとても力を入れてらっしゃるというのもそうですし、今の枠組みにとらわれずに、常に新しいビジネスを模索されているなと。
「ものづくり」の側面だけでなく、「営業・販売」のところでも、現状の取引のみに固執せずに新しく開拓していこうという意欲を常々感じています。
向上心が高い会社さんだなと。

福:先ほどの弱点の話で言えば、マーケティングの部分ですかね。

小:そうですね。
ものづくりの会社さんはこれがどうしても弱いのですが、その部分を自ら課題に挙げられて、何とか改善していこうというところ、率先してされているところというのは、堺市の他の企業と比べてもモデル企業になりうる可能性を感じていますね。

福:やはり、時代の変化というところはとても大きいかもしれません。
昔は大手と取引しているだけでよかったので。
50年以上そうしてやってきたので、いざ新規営業となったときに社内にノウハウが全くないという課題はありました。

小:「さて、どうしよう」というところからのスタートだったことが、「チャレンジする姿勢」に結びついているわけですね。

福:そうかもしれません。
この流れは、中小企業では「あるある」だと思います。
「ここの仕事さえやっていれば」という状態がずっと続いて、取引先の競合他社さんと仕事をすることは昔はNGでしたので。

小:系列取引が当たり前の時代でしたからね。
ただ残念ながら、今でもそういう発想の会社さんはまだまだ多いです。
「待ってたら仕事が来る」という考え方の会社さん。

福:そうなんですか?

小:ありますあります。
「変わり方がわからない」と言うのか。
大きな発注元からの仕事で生きてきた会社さんには、「営業」という概念がありませんから。
そもそも営業マンもいないわけですので。
発注元のニーズに応えるうちに、技術はどんどん磨かれてきたはずなのに、それを発信する方法がわからない、という状態です。

福:埋もれてしまうわけですね。

小:先ほど、河辺商会さんが「モデル企業」だと言ったのは、そうした背景からですね。
中小企業さんにとっての新しいビジネスモデルだと、そう思っています。

福:展示会などもそうですが、すぐ成果が出るものではないところが難しいですよね。
ただ、「まずはやってみる」というところが大切だと考えています。

小:そう思います。
種を蒔かないと芽は出てこないですから。
種を蒔いても芽が出ないことも多いかもしれませんが、それでも蒔かないと芽は出ない。

福:そのあたりはやはり、「そんなことしても無駄だ」という人も一定数いますからね。

小:極端な話「無駄だった」でもいいんですよ。改善点や反省点が見えるので。それらを含めて芽じゃないですか。
チャレンジには勇気も必要ですし、お金や時間もかかります。でも、それをやっていかないと変われません。そうした意味で、「チャレンジしている企業」というのは本当にすごいんです。

福:変われなければ、この先は戦っていけないですからね。
とても勇気づけられるコメントをいただきましたが、逆に私たちの課題や弱点というのはどういったところだと思いますか?

小:そもそも私自身、「樹脂」というものに可能性を感じているんです。
樹脂は今、世論的には向かい風にさらされていますよね?

福:環境問題などですね。

小:でも上手く設計すれば、例えば生分解などの自然に還る形で、環境負荷の少ないものができるかもしれないじゃないですか。
もちろん、立ちはだかる壁はとても大きなものだとは思いますが、「樹脂」にこだわっている、「樹脂」を追求してきた会社こそ、そういうところを目指さなくてはならないと思います。

福:なるほどなるほど。

小:だって、「樹脂」に関する世の中の課題を解決できるのは「樹脂」の会社だけでしょう?
中途半端ではなく、そこに突き抜けた会社さんがあってもいいと私は思っていて、課題や弱点とは少し違いますが、そうした期待を河辺商会さんには抱いています。「樹脂成形のフロンティアカンパニー」のようなイメージですね。一筋縄ではいかないですが、河辺商会さんなら、、といったところです。

福:ありがとうございます。
そうした思い切った目標というのは、表立った方針としてしっかり打ち出さないとなかなかひとつになれないですよね。

小:おっしゃる通りだと思います。
でも、河辺商会さんはやっぱり「樹脂」の会社さんなんですよ。
樹脂のスペシャリストであり、プロフェッショナルであり、開拓者であるのかなと。

福:なるほど。

小:再三言いますが、メタリックの塗装レスなどはまさにそうじゃないですか。他の会社さんにはできない。
その延長線上にはやはり、「他にはやれないことに挑戦して克服する」という道しかないんじゃないかなと。
「社会における樹脂の価値観を変える」。あらゆるところの樹脂成形が、河辺商会さんの樹脂成形にとってかわっていくくらいの話ですよ。

福:塗装レスなどに関しては本当にそうで、「これはきっと将来評価される」と信じてずっとやり続けたんですよ。
結果的に量産までに7年くらいかかったわけですが、スタートの時点で「これは必ず評価される」というものを見つけて、そこへ向かって地道に進んでいくというのが事業として大事なことだなと思いますね。

小:私たちとしても、個々対応が多いので、ニーズの合う企業さんがいらっしゃればどんどん紹介させていただきたいなと思っています。
ニーズに対して、二つ返事で「できます」というよりは、自社の技術を応用して解にたどり着く、という世界にはなってくると思いますが。
あとは、中小企業さん同士で組んで課題を解決していくような、そんな取り組みのハブになっていきたいです。

福:そういえば、ちょうど今、堺市で刃物を取り扱ってる会社さんと共同プロジェクトを立ち上げています。堺市は刃物が有名なので、デザイナーさんを入れて、私たちの技術を組み入れて、打ち合わせをしながら具体的に進めているところです。

小:それはいいですね。

福:私たちはとくに、家電などの外観部分を強みとしてやってきましたので。シボ部分など。
そうしたところの技術を、刃物の持ち手だったり鞘だったりに活かせるのではないかと思っていまして。
「料理人なら堺の包丁」というイメージはありますが、それを普段使いのところに落として、一般向けの商品を作っていきたい。

小:包丁の裾野を広げるようなイメージですね。

福:そうですそうです。
私たちも、今までは「マッチング」というと、「お客さんを紹介してもらう」という意味で捉えていました。おっしゃる通り、ニーズに対し、自分たちの技術を料理して、解決方法を提案する、という。
単純なマッチングももちろん大切なのですが、活路を拓く鍵はコラボレーションのところにあるのかなと考えています。
そういえば、紹介していただいた某大手オーラルケアメーカーさん(S社)のプロジェクトもとても順調です。
薄肉成形など色々な技術を掛け合わせてつくった新しい電動歯ブラシを作っていて、特許を申請しているところです。

小:ブラシのついている部分を極力細くする、といった技術でしたよね?

福:そうです。ブラシの部分をつけるときに、ウエルドがあると割れてしまうらしくて。
これはウエルドレスの出番だと。薄いのに強度が保てる、ということが他社さんにはできなかったみたいです。

小:なるほどなるほど。

福:これまで、ウエルドレスが評価される文脈というのは外観的な部分が多かったのですが、今回は機構的・機能的な部分を評価していただいていて、その特徴がニーズにぴったりおさまったような形になります。

小:薄肉による軽量化は、わかりやすくコストカットにつながっていきますからね。
色々な分野で活躍できますよね。

福:そのメーカーさんが仰るには、そもそも歯ブラシは薄ければ薄いほど良いという前提があるようです。口内に入りやすかったり、怪我をしにくかったりというところで。
今も色々なメーカーさんが競い合っているらしいです。
そこで今回、特許を出せるレベルまで来ていることはとても手応えを感じています。

小:共同特許ですか?

福:製造側の工程の特許なので、商品に対してではないです。
なので例えば、売り上げのバックマージンがどうこう、というお話ではありません。

小:結局そうした実績は、社員の方々にとってもロイヤリティの高まりという部分ですごく意味がありますよね。
「うちの会社ってすごいな」となっていくような。

福:それが、弊社の場合は、他社さんのことを知らないので、言わば「引き継がれてきたノウハウを当たり前のように操っている」という程度の自覚しかなく、あまり特別視していない人が多いんですよね。

小:ある意味すごいですが、とても勿体ないですね(笑)

福:この間も、大阪府ものづくり優良企業の賞をいただいたのですが、受賞者インタビューでは「こんなに凄い技術開発を、こんなに少人数でどんどん進められるのはどうしてなのか」といったことを質問されるんですよね。
でも、他を知らなさすぎて、その感覚が全然わからないんですよ。
全てが、課題を解決するための技術というところからスタートしているので。

小:なるほど。
従業員の方からすれば、日頃会社でやっていることなので、全てが当たり前になっているような感じですね。

福:そうですね。

小:でも展示会に参加された時などは、そうした外からの評価で自社の技術力の高さを自覚する機会はあったのでは?

福:そうだと思うのですが、どうも…。
先ほどもありましたが、お客様からのご相談に対しても二つ返事で「できます」というものではないんですよね。
いくらかの技術開発にチャレンジしてやっとできる、ということで。
もちろん「あれとあれを組み合わせればできそう」という構想は頭の中にあるのですが、営業段階ではなかなかオープンにできなかったりするじゃないですか。
技術者は、「100%できる」と確信できないと「できる」と答えないところがあるので。
でも私などは、ある意味わかっていないからかもしれませんが、確信は半分だったとしてもその構想を信じて「できます」と言います。

小:その部分の違いは大きいでしょうね。
その姿勢がきっと、チャレンジを生んでいるのだと思います。

福:そういう意味では、自社の技術やメンバーの力をとても信頼しています。
挑戦から解決というのをこれまで幾度となく見てきているので、「今回もきっと何とかしてくれる」と思うことができるのだと思います。

小:であれば、挑戦して「何とかした」ときの達成感や得られた評価というのは、全員でちゃんと共有したいところですね。

福:そうですよね。
その部分は課題で、どういう形で分かち合えばいいのかというところはずっと考えています。

小:まあでも、今回のように社内報を発刊するような機会があるのなら、課題を解決した取引会社さんに協力いただいて、河辺商会さんの良さを語っていただくのが絶対いいですよ。
お客さんの喜びの声が集まっているんですから、それは社内へどんどん展開していきましょうよ。

福:お客さんに話を聞くと、ちゃんとした品質とちゃんとした納期で出荷してることに関して感謝されることも多いのですが、そこに貢献したメンバーや担当者に対して、改めてそれを伝えるということをできていないんです。
「当たり前のように納期を守ってやってるだけ」となってしまっているので、「ありがとう」の一言が、何らかの形で届く仕組みを作っていかないといけないと思っています。

小:夫婦と一緒ですよね(笑)

福:そうですね(笑)
なかなか言わないですもんね(笑)
こちらの何気ない一言にすごく喜んでくれたりなど。

小:これだけ取引先さんに評価されて、脈々とつながりを引き継いできているわけなので、伝えるべき「良いこと」はたくさんあるはずです。
その「見える化」は絶対に必要だと思いますよ。

福:今回の対談なども、普通の発想であれば外向きの発信が目的になりがちだと思うんですが、今はまず社内、河辺商会のメンバーに自社の価値を知ってもらうというのがテーマなんですよね。
私が、そういったことを伝えるのが苦手なので。

小:そんなことないと思いますが。

福:いえ、本当にそうなんです。
だからこそ、外部の広報の方のアイデアや力をお借りして、という形で。

小:こればっかりは、内部の人間だけでやるのは限界がありますよね。
自社、となると、粗探し的な視点になりがちですから、悪いところばかりが目についてしまったり。
ちなみに、先ほどの大手メーカーさんとの取り組みなどは、社内できちんと共有されているんですか?

福:いや、技術メンバーだけですね。特許の部分なども、まだ決定事項ではないので。
刃物のプロジェクトも、サンプルを見て興味を持ってるメンバーもいるんですが、まだ何も言えていない状況です。

小:守秘義務のようなところもデリケートですもんね。

福:そうですね。
ある程度のところまでいかないと情報を出せないというのがやっぱりありまして。
もちろん、ものづくりに関してはメンバーの方がプロ、本職なので、伝えたときにはやっぱり適切なアドバイスや意見をもらえるということもあります。

小:ものづくり大学の「八方よし」なんて言葉があって、全方位に貢献していくというのが企業の基ではありますが、今はやっぱり従業員の方々へベクトルを向けていくべきではないでしょうか。
「この会社で働いててよかった」って思える機会の多い会社は絶対に伸びていきます。
あとは、「社内結婚が多い会社は繁栄する」と言われたりしますよね。隣にいる人の仕事の価値や魅力を理解している、ということですから、これは究極のものさしかなと。
従業員の方々に「良い会社だな」と思ってもらう。社長はそこに専念するくらいの気持ちで。

福:なるほど。

小:社長一人でできることは限られていますから。
社長のベクトルが全て社員に向かっていたら、局面局面の課題はメンバーそれぞれがきっと打開していくはず。
もちろん、優しさと厳しさの両面が必要だとは思いますが、これだけチャレンジが許される環境で、成功も失敗も経験できるわけですから、もっとその部分を演出していくべきだと思います。

福:会社の成功体験がイコール自分の成功体験であると認識してもらえたらこれ以上のことはない。
だってその「会社の成功体験」を作っているのは関わった一人一人なので。
今はそれを「自分の成功」という風になりきれていないのはこちらがもっと努力しなければならないと思っています。これでは、しんどいことばかりが思い出に残ることになってしまいますから。

小:しんどいことも必要なんですけどね、そのあとに「良かったな」と噛みしめられる機会があれば。

福:年3回ほどを予定している今回の社内報を通して、そうしたポジティブな部分を還元できるような仕組みを作っていきたいと思っています。
最終的には、私たちの仕事が社会の課題解決になるというところまでしっかりデザインして、企業の存在意義や一人ひとりの手応えにつなげていきたいと思っています。

小:心から応援しています。
私たちも、全力でサポートさせていただきますので。

福:よろしくお願いします。
本日はお忙しいところお時間をいただいて、本当にありがとうございました。

小:ありがとうございました。